2008/11/11 [Tue]21:07 category: 雑感 濡れ衣論文は、明らかに歴史的事実を完全に無視した(というか陰謀史観で凝り固まって理解しようとしない)トンデモ論文であることはその論を待たないはずである。保守派(ほぼ右派といっても良いか)の論客からして、論文を「作文程度のでき」と断じている事実は、あらためて冷静にならなくても、普通に眺めれば、その作文の質がどの程度のものかを理解できるはずである。(11日朝日新聞掲載 保阪正康氏と秦郁彦氏の対談記事) そのことを齢六十にもなる大の大人が、しかも日本の航空自衛隊の責任あるトップが、理解できないはずは無いと思いたい。 そうでなければ、なぜこのような人物(「札付き」といっては言葉が悪いが、その発言内容は以前から知られていたようだ)が空自トップになれたのかという経緯とこのような人物を生み出してしまった組織の体質を総点検する必要があると思う。 このことについては、民主党が、4幕僚長(統合幕僚長、陸海空幕僚長)を同意人事にするよう法改正を求めているのは、取り急ぎ着手すべき改革としては、的を得たものであり全面的に指示できることだ。 要は、隠蔽体質で、内部論理に凝り固まっている組織、人物を変えるには、できるだけ日の当たる場所に連れ出してあげることだと思うからである。 自衛隊も他国の軍隊のご多分に漏れず、武器を持った暴力装置である以上、それを行使させない抑止力を一つ一つの民主的な議論を積み重ねることで、組織内の自制力として持たせる努力をし続けなければならない。迂遠な方法のように見えるが、急がば回れ、それが一番強固な体制を築くのに必要なことだと思う。
田母神前空幕長が改憲を主張していることについても、現行憲法を遵守すべき国家公務員でもある自衛隊員である以上、政府が、憲法に反する行動をとる責任ある人物の更迭を実行することは当然であり、組織的反省を促す意味でも懲戒処分にすることが妥当であると考える。 しかし、そのことによって、今後、数多く出てくるであろう自衛隊内にいわれない被害者意識を植え付けようとする感情的で、非論理的な言説を組織内外で許さない行動を政府自身が取れなければ、この問題は永く深く組織内に潜み、伏流水となり、ことあるごとに表出することになってしまうはずである。
このことも含めた、現代社会の有り様が、自民党長期政権を許してきたことであると考えるならば、政権交代に繋がる、民意を反映させた総選挙をするべき時期は、今以外にないと思う。
所詮、人間世界、人類社会(オバマの言葉を借りるなら、「若者と高齢者、富める者と貧しい者、民主党員と共和党員、黒人と白人、ヒスパニック、アジア系、先住民、同性愛者とそうでない人、障害を持つ人とそうでない人」)は論理を積み重ね、考え方の違いを乗り越え、さまざまな局面で、お互いに合意を得、尊重しあいながら、歴史の長い道を一進一退しながら歩んできたのだ。これからも歩みは遅く、日々の変化は劇的では無いけれど、飽くことなく歩んでいかなければならないと強く感じた一連の出来事である。
テーマ:政治・経済・時事問題 - ジャンル:政治・経済
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