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さて、来年の今頃は・・・
あるいは、当てにならない未来予想図
読書メモ「子どもの貧困―日本の不公平を考える」 (岩波新書)
2009/01/04 [Sun]08:28
category:読書メモ
子どもの貧困―日本の不公平を考える (岩波新書)子どもの貧困―日本の不公平を考える (岩波新書)
(2008/11)
阿部 彩

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昨年末にすでに読了していたのですが、筆不精が災いし、今日の感想アップとなりました。
貧困問題は、すでに社会問題化し、さすがの大手マスコミも連日何らかの形で報道せざるを得なくなってきました。それほどこの深刻になってきているということの証左なのですが、結局社会的弱者と呼ばれる人々にシワ寄せがきています。

この本は、その社会的弱者と呼ばれる子供の貧困について最新の知見をもとにまとめられています。ただし、親(=大人)の貧困状況については横に置き、あくまで子どものおかれている貧困状況とその政策について現状分析とこれからどうあるべきかということを主眼に置かれています。
日本社会の子供に対する「貧困」さはなんともやりきれない状況でありながら、結局、親の就労支援、少子化対策などというこれもまた中途半端な政策により十全なもとのなっていない。その状況が子どもの置かれている状況からも十分に理解される内容になっている。
行政、政策にかかわる人にはぜひ参考にしてほしい書籍だと思います。

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読書メモ「労働再規制」
2009/01/01 [Thu]20:45
category:読書メモ
労働再規制―反転の構図を読みとく (ちくま新書)労働再規制―反転の構図を読みとく (ちくま新書)
(2008/10)
五十嵐 仁

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この本の中で著者は、2006年が日本の労働政策のターニングポイントであると強調されている。小泉政権の交代と前後して経済財政諮問会議中のメンバー変更による力学の変化があったことを裏付けられている。特に、小泉元首相と二人三脚で進んできた竹中平蔵氏の発言力の急激な低下が象徴的な出来事ととして取り上げられている。

確かに、政府中央における2006年における力学の変化はあったのだろうが、実生活に関しては、2008年から何年かは続くであろう経済的、政治的大変動の中で、どのような動きになっていくのかを注視していく必要はあるでしょう。これからが正念場です。

それと、小泉・竹中路線(規制緩和に名を借りた持たざる側の個人を切り捨てていく冷酷な市場原理主義路線)をどうのように批判的に総括し、これから日本政府を担う政権党(自公であれ、民主であれ)がどの程度の本気度で、社会再生に向けて取り組んでいくのか、その立ち位置が明確になってくることになるはずです。(自公では絶対無理でしょうが・・・)
持たざる側の個人、それに弱者が、少しでもむくわれ、希望が持てる社会にしてほしいし、そのような政策転換の重要な課題の一つとして、破壊された労働者保護政策の再建の参考になる書籍であると思います。

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岩波書店総合雑誌「世界」2008年12月号を読んで
2008/11/24 [Mon]08:38
category:読書メモ
11月8日発売の岩波書店の総合雑誌世界は、現行の金融危機に端を発した経済混についての特集を組んでいます。
その特集に、伊東光晴氏と宮崎勇氏のお二人が寄稿されています。伊東氏はサブプライムローンの前史を解きほぐし、宮崎氏は、今般必要な経済政策の基本は何かを語られています。古臭い議論のようですが、目先の緊急対策の是非についての議論も必要なのは間違いありませんが、それと同時に、今必要なのは、このような基本的な確認作業を続けていくことなのではと思います。

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読書メモ「ケア その思想と実践1 ケアという思想」
2008/11/10 [Mon]20:41
category:読書メモ
ケアその思想と実践 1 ケアという思想ケアその思想と実践 1 ケアという思想
(2008/04)
上野 千鶴子、

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全6巻(全て刊行済み)シリーズの第1巻である。
高齢社会(樋口恵子さんの考えに同感なので、「化」は省きます)のなか、過去の人類がほとんど経験してこなかった、高齢者・障害者としてケアされること、ケアすることに対して、現在の立ち位置からさまざまな検証を行うシリーズである。
この第1巻では、ケアすること・ケアされることを第一線で豊富な経験を積んできた方々が考察する内容である。
いまさらながらであるが、自分で経験できない領域もあり、それぞれが抱える問題に対するまなざしは新鮮だ。その内容には学ばされることが多い。
全ての巻を読み通すには、まだしばらく時間はかかるだろうが、あきらめずに読み通したいシリーズである。

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読書メモ「子どもへの性的虐待」
2008/11/09 [Sun]20:37
category:読書メモ
子どもへの性的虐待 (岩波新書 新赤版 1155)子どもへの性的虐待 (岩波新書 新赤版 1155)
(2008/10)
森田 ゆり

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この本に書かれている現実、決して少なくない性的な被虐待児がこの日本にもいる現実には、慄然とさせられる。
著者は、子供に対する性的虐待が表面化した80年代~90年代の米国が社会全体でその対策に取組み、被害を半減させてきた状況を、実際にさまざまなプログラムを立ち上げることを通して、経験してきた方であり、その状況を日本に紹介し、かつ実際にカウンセラーとして第一線で活躍されている方である。
文書は、真摯で落ち着いた筆致で、決して声高に現状を訴え告発する内容ではない。
性的虐待の加害者は、巷間よく言われているような見知らぬ誰かではなく、被害者となる人のごく親しい人、良く知る人であることが圧倒的に多いとのデータが示される。
その上で、実際に被害にあっている子供の被害状況をいかに確認し、いかに救うかを経験に裏打ちされた実証的な手法で教えてくれる。
何よりも大事なのは、信頼していた大人に傷つけられた子供に対して、心ある、しっかりと訓練をつんだ大人が対応すること。それに尽きるということである。
日本においても、この本に書かれている提言に耳を傾け、早急に制度構築、インフラ整備を図るべきである。待ったなしである。

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